人生いろいろ、身体もいろいろ、性別もいろいろ

 ……とか、昨日からクリップしてます。法律的に見ると、規定の根拠が結構興味深かったりとか。


(1)20歳以上であること
(2)現に婚姻していないこと
(3)現に子がいないこと
(4)生殖腺がない又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態
(5)体について他の性別の性器に係る部分に近似する外観がある
 戸籍上の性別変更のためには、上記を満たした上で医師の診断を受けるという規程があるわけですが、微妙なところなのが(3)の規定。
 この「子供が居ないこと」という規程は、戸籍法上の規程に由来するものだと考えられる。結婚した場合には、いわゆる入籍という手続きで男女が既存の戸籍から外されて新たな戸籍が派生する。この段階ではまだ原状回復が可能なのだが、子供が生まれるとこの戸籍に子供の情報が設定されるのである。この両親を起点に嫡出子を記述した戸籍は、子供から見れば原点でありオリジナル・クラスになるわけだ。
 子供にとってはオリジナルである以上、これを破棄する事は出来ない。もちろん両親の記述も削除する事はできない。だから子供が居る親の性別を変更すると、親のクラスから派生した子供の戸籍上では書類上の同性結婚が成立する事になる。しかし政府と社会は同性結婚を見とめていない。だからここでエラーが発生してしまう。
 (2)は見た通り単純に書類上の同性結婚を嫌っての事だが、(3)についても実態は書類上の同性結婚を防ぎたいが為の方策だといえる。しかし婚姻関係が離婚によって能動的に解消できるのに対し、子供は死亡などによって戸籍が抹消されない限りは条件のクリアは不可能だ。(3)の要件が戸籍法の継承関係の構造上発生したエラーである以上は、シングルマザーのように未認知状態で片親を空欄にするなどの対策がとられても良いのではないだろうか? 方法論としてはそれもありだと思うんだけどな。
 ちなみに戸籍には、未だに「長男」「長女」の表記が使われているようです。普通に生まれ順に「一子」「ニ子」と付けた方が楽だと思うんだけどなぁ。