詭弁なのかな?
妙にアクセス数が増えているなと思ったら、「高木浩光@茨城県つくば市 の日記」からリンクが張られていたらしい。
この辺りの部分で『詭弁』として挙げられた中に、どうやらうちの「危険はただ顕在化しただけ 」も含まれているようだ。個人的には、潜在的にあった可能性について指摘したつもりだったのだが、『詭弁』ととらえられてしまう向きもあるようだ。
Winnyによる情報の拡散性は、個人情報を回収不能とするという点において最初のわかりやすい例となったかもしれない。それは『顕在化した危険性』にすぎず、インターネットの特性の一部が目に見える形で姿を現したに過ぎない。
よく、インターネットはパンドラの箱*1に例えられる事が多い。箱の中には生活を便利にしたり、情報を手早く簡単に入手したりできるという『希望』も詰まっていたが、情報の流出や拡散といった『悪夢』も詰まっている。
今回の場合はWinnyが情報の拡散という『悪夢』を、副次的な作用として取り出してしまった。しかしその『悪夢』は、最初からインターネットというパンドラの箱の中に入っていたのではないだろうか。
確かに誰かが取り出さなければ、この『悪夢』は世に解き放たれる事は無かっただろう。しかし誰かが必ず解き放っただろうとも言える。Winny以外の何かは、もっと悪質に拡散させたくない情報を拡散させるためだけの存在として生まれ落ちる可能性だってあるわけだ。
「拡散に人の意識が介在する余地があるかないか」を問うのであれば、コンピュータ上で自動実行されるプログラムによって「人の意思が介在する余地無く」拡散を実行する事は可能だ。ウィルスやワームがその最もたる例なわけだけどね。
今やらなければならないのは、これを教訓としてインターネットの闇の部分や、それによって生じる実害といったものを周囲に啓蒙する事ではないだろうか? Winnyが悪いと言って、その存在と作者を叩くという事ではないだろう。
インターネットを安全に使う方法や、ウィルス対策を含めた危険への対処方法を知らしめる事が先決だ。Winnyは図らずも、漏らしたくない情報を広範に拡散する手段を提示してしまった。今後、誰もが思いもよらなかったもっとすごい何かが出現する可能性だってあるのだ。
とりあえず、身近なところでウィルス対策から。せめて、職場のデータを入れたマシンでAntinnyに感染しないようにしてもらう事だ。
Winnyのキャッシュ領域が有限の記録領域上に作られている以上、いずれはファイル整理によって消えて行く運命にある。ダウンロードした人は手元に残るかもしれないが、一時的な情報価値が薄れれば他のダウンロードファイルの中に埋もれて忘れ去られるだろう。
『人の噂も七十五日』と申しますし、話題性が薄れれば消え去るもんです……、で済めば嬉しいんだけどねぇ。時間の壁が無いおかげで、意外としぶとく残っちゃったりとか。ココだけの話、某K府警のファイルなんかは根強い人気の為まだ流れているみたいですし(苦笑)。
*1:例えば、「インターネット」というパンドラの箱(2001年度神戸女学院公開講座)みたいな感じで