徴兵制は貧者の戦略

 余程に兵力が不足していない限り、徴兵制を導入するのは無意味なんですよねー。だって人数が増えたら、それだけ訓練施設も必要になって経費は倍増するし。そもそも大人数を的確にコントロールするのは非常に骨の折れる仕事ですから。
 昔みたいに貧乏で単純な兵器しかなければ、教育の手間を考えても人海戦術ってのはそこそこ有効な手段になります。でも第二次大戦以降、兵器は進歩してその運用に相応の熟練度を要求するようになりました。もちろんそれに伴って教育コストも増大しています。
 今現在、企業でさえコスト面から社員教育をおろそかにしている現状があります。仕事ならまだ見て覚えろとか、OJTとして色々やらせて失敗の中から学ばせることも可能です。しかし軍隊はそうは行きません。あそこは規則と命令が絶対でなければいけない世界なので、教育段階からミスは許されません。自身や味方の命の安全のために、殴ってでも覚えさせます。
 これだけでもコストがかかっていますが、その上で目的に合わせてある程度の兵器を使わせる訓練をさせなければいけません。最低限、銃の分解組み立てと整備。場合によっては通信機器や特殊車両の操作も覚えさせなければいけません。これを徴兵した人間にやらせようとなるとコストは馬鹿になりません。
 だから人間の変わりに最新の兵器を導入してコストを低減します。昔は人の命が一番安いなどとも言われていましたが、教育費用や代替の人員確保。そして各種補償や福利厚生を考えた場合、馬鹿高いといわれている兵器ですら安く見えてきます。
 戦闘機はF-15J(フル装備)で100億しますが、乗る人間にも5億以上の費用と5年の歳月をかけていますので、一発2億円のパトリオットの方が十分お安いという計算になります。陸上にいる兵士も教育単価は安くても、今度は人数をまとめて使うためかかる費用は大差がないものとなるでしょう。
 だから自衛隊は、基本的構成は職業軍人と現役自衛官。それで足りないときは、既に基礎教育が済んでいる予備役を使ったほうが効率的であるという結論に至るわけです。某国のように貧乏で兵器が十分に用意できず、人海戦術でやろうと言うなら別ですが。(w
 まぁ、どこであろうとも人材に金がかかるのは変わらないってことで……。