常識としての軍事学

 おとなり日記で、こういうところを見つけた。

自衛隊の中途半端さとは、まず憲法で陸海空の戦力保持を禁止しているにもかかわらず、世界有数の軍事兵器(イージス艦・F15・パトリオットなど)を持っていることです。次に、そのような軍事兵器を買っているということです。憲法で交戦権を否認しているにもかかわらず、兵器を買うのは意味がわかりません。

 「戦力保持」という点では昔から綱渡りをしていますが、「交戦権」についての問題では「自衛権」までは制限していないという説があります。そもそも侵略を受る際に完全無抵抗主義というのは考えにくいですし、アメリカは自国の利益のために前線拠点としての日本が欲しいだけですから、国民全部を守ってくれるかという点ではかなり疑問が残ります。

 さてさてそれはともかくとして、こちらで例として挙げられている世界有数の兵器たちですが、いずれも自衛隊では防御目的で使う事を前提として購入されております。
 女神の盾の名を持つイージス艦は防空を主眼に置いた艦であり、主に攻めてくる戦闘機を撃墜するために用いられます。対潜・対水上戦闘能力は水上艦用の航空戦闘力を持たない日本にとって、相手の戦闘艦に対する唯一まともな対抗手段ともいえるでしょう。対潜能力については言わずもがなですし、最近は従来の艦が老朽化してもなかなか新しいのを買ってもらえないので、一隻で色々できるのは何気に重要なことだったりとかします。
 パトリオットは頑張れば相手のミサイルも落とせる対空ミサイルです。対空なので空から近づいてきた相手は落とせますが、地上の目標は狙えません。当然、国外へ持って移動でもしない限り領空外の相手も狙えません。
 F-15は元々、旧ソ連のジェット戦闘機Mig-25に対抗するために作られた戦闘機です。自衛隊が装備しているF-15Jは、この空の相手と戦うためだけに作られた機体なので爆弾を積むのは得意ではありません。中東で活躍していた爆弾を積むのが得意な機体は、F-15EというF-15(J)の発展型です。むしろその点を指摘したいなら、支援戦闘機F-2を引き合いに出すべきでしょうね。F-16の姉妹機であるF-2は、F-15Jよりは爆弾を積むのが得意ですから。
 こんな感じにお題目の影響もあってか、自衛隊世界的な軍事の流れの中では非常識なくらいに防御向けの兵器ばっかり買っていたりします。F-2F/A-18「ホーネット」ベースではなく、小型で爆弾はあまり積めないけど空戦力が自慢のF-16をベースにしちゃうところとか特に。(w
 世界的な流れから言えば、直接相手の領土を攻撃できる戦闘攻撃機爆撃機弾道ミサイルがあたりまえのように装備されていますが、日本にはそんなもの不要という事で防御向け装備しかなかったりするわけです。前述のF-15Jや早期警戒機E-2Cといった機体も、旧ソ連から亡命してきたMig-25戦闘機が函館空港に強行着陸するというイベントがなければ導入される事はなかったかもしれません。


 でまぁ……こういう話をしていると永世中立国であるスイスの話が出てくるかもしれませんが、スイスは世界でも有数の軍事大国です。人口に占める兵員の数で言えば、世界でもトップクラスではないでしょうか? そもそも最近では、兵役という制度が残っている国自体が珍しくなってきましたからね。

 まぁ、そんな感じ。軍ヲタ的には常識なんだけどなー。