貨幣に関する思考実験

 貨幣に関する話を見かけたので、何となく考えてみた。


第1段階:物々交換
 物と物を等価値で直接交換する。

第2段階:有価値物を媒介とした交換(→金・銀による取引)
 そのつど物を運ぶのは大変なので、単体で価値を有する物質を媒介させる。

第3段階:有価値物との交換保障(→金貨・銀貨の鋳造)
 媒介に使う物質の価値を公に認め、貨幣として差別化する。

第4段階:有価値貨幣の代替品の登場(→硬貨の流通)
 有価値物では流通総量に限りがあるため、より安価な代替物を定義する。またこれを従来の有価物と交換可能である事を保障する。

第5段階:貨幣の信用裏づけの確立(→紙幣の流通)
 貨幣が交換用の媒介物として定着し、取引における決済が保障される。更に安価な貨幣を発行し流通量を増大させる。

第6段階:貨幣所有情報のデータ化(→オンライン処理)
 貨幣流通が大規模化したため、大量の貨幣移動を現物ではなくデータ上で決済する。データに対して送受双方が信用を保障する。

第7段階?:貨幣概念の相転移
 貨幣に変わる概念ないしは、貨幣そのものの更なる形骸化。電子マネーが標準化するならこのあたりか?


 ある程度の規模の取引が日常化した場合、第3段階までは比較的容易に進行すると思う。有価値物として媒介になるのは、貝殻でもエネルギー結晶でも何でも構わないし。
 第4段階となると、統治者側にどの程度の力量と統治能力があるかで発展度が異なる可能性がある。ただ有価値物は希少である場合が多いので、商取引の現場ではかなり早い段階で代替貨幣が登場するものと思われる。