自己主張するパチモノたち

 翻ってちょっと前になると、「リプレイのためのTRPG」という予定調和はすっかり崩壊していました。リプレイ読んでる人が減ったのかどうか知りませんけど、「自分物語のためのTRPG」に変質している人が結構いたんです。

 「リプレイのためのTRPG」だと、他の人との掛け合いやGMの情景描写など複数の人が共同して制作したという一体感があり、そのためには協調性やコミュニケーションなんかを自然にわきまえていました。
 ところが、「自分物語のためのTRPG」だと、自分のキャラの活躍ぶりしか物語としてインプットされていませんから他の人の都合なんかお構いなし。ひどくなると、自分物語に対する挑戦と敵視する始末。
 
 そういう「自分物語のためのTRPG」をする人のキャラは「萌えと我侭の権化」で、プレイはひたすら自己主張するだけの「萌えキャラ品評会」になってしまいます。

 嗚呼、これぞ由緒正しきメールゲーム(PBM)崩壊の主要因。
 最終的に物語として執筆される事を前提に、その世界での活躍を目指し、世界に調和した行動をとり、没を恐れず果敢にも知略をめぐらせて共闘を図っていた世界は失われた。
 後に残ったのは、どこかで見たような萌えキャラ、ヒーロー&ヒロインキャラが跳梁跋扈する、ただただ混沌とした世界。リアクション(リプレイ)文書はただの成果物になり果て。登場保障や行動保障、そして全ては「自分物語を自己主張するためのPBM」へと成り果てていった。
 今や残るは、「自分物語執筆代行サービス」のみなるかな……。