ライトノベル文体の自然淘汰

 これは初期のライトノベルに見られた特徴なのではないかと思う。
 当時、一大勢力だった富士見スレイヤーズ帝国が採用していた、「変異火浦型軽薄文体」*1こそがライトノベル文体の祖ではないだろうか。
 スレイヤーズ帝国が勢力を増すに従い、テンポを上げるために描写を適当に省略して、所々に擬音表現を用いる文体が輸出された。この結果、富士見の新人賞を中心にしてこの文体の亜種が大量に発生。一時的にライトノベル界の公用語に近いところまで広まってしまったのである。
 しかし「変異型」の名が示すとおり、元が変異種でありかつコピーによる劣化が早いのがこの文体の特徴である。あっという間に大量の劣悪種が発生し、ものすごい勢いで淘汰が開始される事となった。
 この結果、現在ではこの文体はオリジナルたる変異種を除けば限られた数しか生存しておらず、なおも発生する新種も大半が劣悪種として淘汰されている状況にある。
 こうして種の多様化が進み、元の自然な状態に戻った現在のライトノベル界において、「ライトノベル文体」と呼ばれる固有の方向性が示される事は無いのである。

 ……こんな感じかな。

*1:当然ながら今作った用語です。火浦功を知っている人はここで笑ってください。