大フジミ王国から始まる人材登用制度

 条約機構時代から正式に連邦制への移行を終えたカドカワ連邦は、人材の不足に直面する事になる。旧大陸との地理の違いがもたらす必要な人材の特殊化に加え、これらの人材の多くが短命であった事が直接要因であるとされるが、彼らにとって優秀な人材の確保は急務であった。
 国家を維持するためには在野から効率的な人材発掘を行う必要があると考えた大フジミ王国は、年に一度の官吏登用試験制度*1を確立した。王国の重臣たちによって管理されるこの登用試験の難易度は高く、開始から暫くは重臣たちの目にかなう者は現れなかったそうだ。
 しかしその中からも見所のある者達が数多く見出され、より実践的な実習や訓練を経て*2王国の第一線へと投入されていた。中でも有名なのは、最初の登用試験で見出されたハジーメ・カーンザッカであろう。他にもシノブ・サーエキやヨシノブ・アーキタ等が有望とされ仕官候補となる。しかし重臣たちの推挙を受けた者は、第4回試験でのユウ・ゴーダイのが最初であった。彼以降に推挙を受けた者もただの2人しかおらず、大フジミ王国の試験の厳しさを物語るエピソードとして語られる事が多い。
 以後、これに続くようにスニーカー王国やデンゲキ王国が同様の登用試験を開始。ファミツウ王国(エンターブレイン連合)など、他の勢力もこれに追随する動きを見せている。
 現在では東西フジミ王国が別個に試験を実施し、スニーカー王国が国王直轄の試験制度*3を開始するなど、数多くの官吏登用試験が催されている。
 これにより一時期は「有望な人材が仕官候補として列を成している」とまで言われた、大フジミ王国への人材の一極集中は改められ、各国は優秀な人材の確保と養成に奔走している。

*1:「ファンタージ・アチョーヘン・ショウセツターイ・ショウ」……と書こうとしたけど長かったのでボツ

*2:主に移民船であり交易船であり練習船である「ドラゴンマガジン」に放り込まれ、鬼のような特訓が……

*3:角川学園小説大賞は作家審査陣を用いない事業部審査